2016-01-30

【艦これ】輸送ゲージ海域の攻略効率化について（２）モデル説明

艦これ

艦これの輸送ゲージ海域をなるべく簡単に攻略するための新しいアプローチ。
数理計画問題として捉えて色々考えてみました。

１．導入

艦これ運営から２月１０日に冬イベントが開始されるとの発表があり、あわててこの問題に取り組んでいましたが、なんとかイベントまでに間に合いました……。

前回の記事では、「艦これの輸送ゲージってもうちょいラクに攻略できるんじゃないの？」と、その思いつきをつらつらと書いてみたわけですが、今回は実際にどのように攻略方法を決定するかを示していきます。

machikado.hatenablog.jp

前回の記事をご覧になった方で、察しの良い方はお気づきだと思いますが、今回考えている艦これの話、数理計画問題として解けるんじゃないかと思ったんですよね。

数理計画問題ってなんだ？って方のためにネット上の説明ページから引用すると、

一定のルール（決めごと）の範囲内においてできるだけ良いやり方を，数理モデルと計算機の力を借りて導く手法．
数理計画法 - 数理計画用語集

ということになります。まぁ簡単に言うと、「ある物事をなるべく単純に考えて、数学を使ってどうにかしよう」ってことですね。（超ざっくり！）
この問題は、物事を単純に考える段階と、それをどうにかする（コンピューターに計算してもらう）段階の大きく２つに分かれています。今回取り上げた艦これの話は、「単純に考える」ことさえできれば問題が解決するはずです。

では、「単純に考える」とは一体どういうことなのか？
それは、先に引用した文中に「数理モデル」という言葉に示されているように、物事のしくみ（今回の場合は艦これの輸送ゲージシステム）を数式で表すことになります。
これができれば、輸送ゲージシステムが導入されている海域をスムーズにクリアでき、不必要なイライラから解放されるわけです。

数式で表すとはどういうことなのか、例を挙げますと、
Ａくんは時速4kmで歩いています。6km歩くには何時間歩けばよいですか。
\begin{eqnarray*}
4 x & = & 6 \\ x & = & 1.5
\end{eqnarray*}

↑こんな感じです。

さて、問題は輸送ゲージシステムをうまく数式に表せられるか。ということなのですが、
結論から申し上げますと、うまくできませんでした（笑）
ここ数日考えていたのですが、どうもうまく数式にまとめられませんでした。やはり手法を確立しないまま、見切り発車で記事を書くのは良くないですね。次回からは、きちんと話の終わりが見えてから記事に起こしたいと思います。

なので、今回は輸送ゲージを攻略する上で、ドラム缶運用の「目安の付け方」を紹介する。ということに留まること、
ここで紹介する運用方法を行えば、必ず最短ルートで攻略が行えるという保障はできない（けど、ある程度うまい方法は見つかる）ことを踏まえた上で以下の記事をご覧いただければと思います。

２．数式にする

この章は数式が出てくるので苦手な方は飛ばして次の記事にどうぞ。
とはいえ、前章でネタバレしたように、うまくできなかったのでそれほど難しくはありません。ナップサック問題という典型問題に準じた形に簡略化して考えました。

参考：ナップサック問題 - Wikipedia

そして、妥協して数式に表したものがこちらです。*1

${ \displaystyle \min \sum_{k=0}^{N-1} x_i y_i \tag{1} }$

${ \displaystyle \mbox{s.t.} \quad \sum_{i=0}^{d} x_i = N-1 \tag{2} }$

${ y_i = \lbrack ai \rbrack + B \quad (i=0,1,2, \ldots ,d) \tag{3} }$

${\displaystyle \sum_{k=0}^{N-1} x_i y_i \ge P - B \tag{4} }$

これらの数式について説明していきます。
今回探しているのは、ドラム缶をなるべく運ばずに海域を周回（輸送ゲージを削る）方法です。
本来は前回の記事に書いたように、使用する編成と、その編成でボス戦A勝利できる最大ドラム缶搭載量が分かれば、どのようにドラム缶運用を行えばよいか決定できる予定だったのですが、
前述したように、できなかった（笑）ので、使用する編成と、～～最大ドラム缶搭載量、周回回数*2が分かれば、～～、というように考えます。*3

例えば、 ${N}$ 回の周回で終わらせたいときになるべくラクに終わらせるには、同じ周回回数でもドラム缶はあまり装備しないほうが良いでしょう。ドラム缶を装備するとそのぶん戦闘力の低下に繋がるからです。
加えて、最終形態のボスには1度対戦するだけで済ませたい、その最終形態対戦時はドラム缶を持たない全力出撃状態で挑みたい。そのようなことが行える運用方法を考えました。

そこでドラム缶を何個持たせれば良いかということを考えていくのですが、周回 ${N}$ 回目のラスダン時はドラム缶０個で確定です。つまり、それまでに行われる ${N-1}$ 回分のドラム缶をそれぞれ何個持たせるのか分かれば良いのです。この章では以後、そのとき（通常形態時）の運用についてのみ考えていきます。

${N-1}$ 回の周回のうち、ドラム缶を ${i}$ 個持たせ、それを繰り返す回数（周回回数）を ${x_i}$ とします。
但し、ドラム缶を持たせつつボス戦A勝利するといっても、その持たせられるドラム缶数には上限があるでしょう。この上限を ${d}$ とします。*4
このときに成り立つ式が(2)式です。

次に(3)式について。１回の周回での減少TP（輸送量）について艦これWikiでは以下のように記されています。

(A勝利ドラム缶0の場合の基本値は編成により変動（攻略情報参照）、(第1艦隊積載の)ドラム缶の効果は1つにつき3.5*13、大発動艇の効果は1つにつき5.5?、小数点以下は切り捨て。S勝利だと1.44倍？、小数点以下は艦娘・ドラム缶・大発の合計ごとに切り捨て説が有力) S勝利でゲージ破壊できる状態になったときにボスマスが最終形態に変化する。
突入！海上輸送作戦 - 艦隊これくしょん -艦これ- 攻略 Wiki*

これを踏まえて、ドラム缶０個のときの減少TP（編成による基本値）を ${B}$ 、ドラム缶１個あたりのTP減少効果を ${a}$ 、ドラム缶 ${i}$ 個持たせたときの減少TPを ${y_i}$ とすると、(3)式になります。*5

そして、海域攻略に必要なTPを ${P}$ とすると、周回 ${N-1}$ 回目までには、少なくともTPを ${P-B}$ 稼ぐ必要があるので(4)式が立てられます。

以上の条件のなかで、周回回数を保ちながらもドラム缶数を減らしたいので(1)式に示すように、 ${\sum_{k=0}^{N-1} x_i y_i}$ の最小値を探せば、自ずとどういう運用を行えばよいか分かります。

いままでに置いた変数をまとめるとこのようになります。
${x_i}$ : ${i}$ 個ドラム缶を持たせて周回する回数
${y_i}$ : ${i}$ 個ドラム缶を持たせて周回したときの減少TP
${d}$ :最大ドラム缶搭載量
${N}$ :周回回数
${P}$ :海域攻略に必要なTP
${a}$ :ドラム缶１個あたりのTP減少効果
${B}$ :編成による減少TP基本値

では、どのように探せば良いのか。これは既に探し方が見つかっていますのでそれを利用させてもらいましょう。

少し記事が長くなりましたので２つに分けます。

続き

machikado.hatenablog.jp

*1:文字を揃えして数字付き数列にしようとしましたが、はてなの仕様がうまく掴めず途中で心が折れました……。

*2:前回の記事では「出撃回数」と説明していましたが、実際のプレイでは道中撤退もあり混同するので、以後このように表記します。

*3:このように設定を変えたことで問題がすごく簡単になりました。

*4:この値は出撃を繰り返すことで経験則的に周回が安定して行える数字として導き出されます。実際には、多くの艦これ攻略サイトで編成見本とそのときのドラム缶数が示されていますので、攻略時はそれらを参考に上限dを決めれば良いのです。つまり、この攻略方法はある程度情報が出揃ったあとに、その情報を活かして効率良く攻略することを目的としています。

*5:大発動艇の効果やS勝利時のTPボーナスは今回無視しました。これは今後の課題になります。運要素が絡んだS勝利ボーナスも考慮すると問題が途端に難しくなるので。

2015-12-10

【艦これ】輸送ゲージ海域の攻略効率化について（１）素案

艦これ

輸送ゲージ海域は縛りプレイですが、その縛りを緩くすることはできます。
今回はその発想を具体例を交えながら説明します。

１．はじめに

そういえば、ブログを作っていたらしい。

１月以来、今年に入って２回目の更新です。
前回はアニメの話をしましたが、今回は艦これの話をしようと思います。
久しぶりにブログを書いたと思ったら、このブログのタイトルにそぐわない話、ということになりますが、元々Twitter自体使い分けができていないので、まぁいいか（思考停止）と思い、ブログ形式でまとめておこうと思ったわけです。*1

２．艦これ秋イベについて

さて、一昨日12月8日（火）に2015年の艦これ秋イベ「突入！海上輸送作戦」が終了しました。
今回のイベント、色々とごたごたはありましたが、新しいシステムとして導入されたのが「輸送揚陸ゲージ（以下、輸送ゲージ）」という戦闘ゲージです*2。

従来の戦闘ゲージと異なり、輸送ゲージが導入されている海域においては、ボス戦の旗艦撃破を数回繰り返すことを海域攻略の手段としていません。
指定されたアイテム（ドラム缶）をなるべく多く艦娘に装備し、特殊な艦娘をなるべく使いながら、ボス戦をA勝利以上すること。それを複数回こなすことが海域攻略の方法です。

ただ、このA勝利の繰り返し回数が明確に決められておらず、ここでは「輸送ゲージ」という名のとおり、
ある一定以上量の物資を輸送できれば攻略完了。出撃ごとの輸送成功の判定基準がボス戦A勝利以上、というわけです。

この要求される必要輸送量は、ドラム缶という戦闘に必要のないアイテムを多く装備すればするほど、特殊な艦娘を多く編成に組み込むほど、輸送成功１回あたりの輸送量が増加していきます*3。

要は、条件の厳しい縛りプレイをするほど、必要な出撃成功回数が少なくなる。ただし、そのぶん艦隊が弱くなるので道中大破し撤退する可能性が高まる。そのバランスを上手く調整してなるべく効率的に攻略していく海域です。

詳細な説明は艦これWikiのほうにあるので、詳しく知りたい方はそちらをどうぞ。
輸送揚陸ゲージ/突入！海上輸送作戦 - 艦隊これくしょん - 艦これ - 攻略 Wiki*

３．輸送ゲージシステムへの疑問

いくつドラム缶を艦娘に載せれば効率的か、どのような艦娘を使えば効率的かという問題は攻略Wiki、各攻略ブログで紹介されています。
それらの記事内容と自分の現在所持している戦力を照らし合わせながら、どのように攻略していけばよいかを決めていく。一度試してみて上手くいけば、その編成での出撃を繰り返して攻略していくのが普通だと考えられます。

ただ、そこに１つ疑問点とそこから考えられる改善点が発生します。
それは、
ある時点の出撃からは搭載するドラム缶の個数を減らしても、
必要輸送回数は変わらない場合が出てくるのではないか
ということです。
たとえば、「出撃3回目まではドラム缶を計12個搭載していたけれど、4回目からは11個に減らしても必要輸送回数は変わらない場合が出てくる」ということです。その空いた枠に別の装備を入れれば、道中撤退の可能性がさらに低くなります。
提督の精神衛生を保つためにも取り組むべき課題だと思います。

今回初登場の輸送ゲージには、もう１つ忘れてはいけない特性があります。
それは、ボス戦S勝利時に輸送ゲージで指定された輸送量を完遂（攻略完了）できる状態
(S勝利時の輸送量)≦(必要残り輸送量)
になると、ボスが最終形態に変化することです。*4

ボスが強くなってしまうと、A勝利以上できる確率が下がってしまいますから、この状態のボスとはなるべく戦いたくありません。
しかし、「S勝利では攻略完了できるのに、A勝利ではできない輸送量」の状態だと、最終形態のボスに対して少なくとも２回のA勝利が必要になります。

ところが、ドラム缶の搭載数を調整すれば、
最終形態のボスに対してA勝利１回で済む場合が生じてきます。
ここが今回の提案のミソです。

４．具体例

適当に数字を設定し説明してみます。
たとえば、攻略に必要な輸送量があと80、現時点の編成を使った場合、A勝利時の輸送量が60、S勝利時が85としましょう。

このとき、そのまま出撃してしまうと強化されたボスに苦戦してしまいA勝利で残り20。
もう１回出撃して攻略完了。と２回の出撃を要するかもしれません。
道中撤退の可能性もあります。ドラム缶を過積載している状態にあるわけです。

勝利判定	輸送量(残り80)	ボス形態	結果
A勝利	60	最終形態	最終形態時の勝利がもう１回必要
S勝利	85	最終形態	攻略完了だが実現可能性は低い

このときに、積載するドラム缶を減らしてA勝利時の輸送量が30、S勝利時50になるように編成を組んでみましょう。
まず１回目での出撃では
(S勝利時の輸送量50)<(必要残り輸送量80)
であるため、ボスは最終形態に変化していません。
ドラム缶を減らしているため、道中の安定性も向上します。
このときにA勝利をした場合、残り50。
そして、A勝利時の輸送量が50となるように装備を調整すれば、最終形態のボスを最低１回のA勝利するだけで終わらせることができました。

出撃回数	勝利判定	輸送量(残り80)	ボス形態	残り	結果
n回目	A勝利	30	通常形態	50	輸送量30でラクラク勝利
n+1回目	A勝利	50	最終形態	0	上記例より輸送量10少ない状態において、最終形態にA勝利1回だけで攻略完了